食物繊維の摂取量の減少、ストレス社会の到来、運動量の減少ならびに高齢化等に伴い、便秘を訴える患者数が増加しています。
それに伴い2017年成人の慢性便秘症に対する診療ガイドラインが日本で初めて発刊されました。
慢性便秘症診療ガイドライン(2017)によると、便秘とは、「本来体外に排出すべき糞便を十分量かつ快適に排出できない状態」と定義されています。
便秘の患者さんは年々増加傾向にあり、現在、便秘の症状で悩んでいる方は600万人、自覚のない方を含めると1000万人の患者さんがいるといわれています。
慢性便秘症を来す基礎疾患
- 内分泌代謝疾患(糖尿病、腎不全等)
- 神経疾患(脳血管疾患、脊髄損傷、Parkinson病等)
- 膠原病(強皮症、皮膚筋炎等)
- 精神疾患(うつ病、心気症等)
- 器質的疾患(痔核、裂肛、大腸腫瘍等)などがあります。
慢性便秘症の治療
慢性便秘症の治療は食事栄養指導、排便習慣指導、薬物療法が選択されます。
生活習慣の改善には以下のようなものがあります。
- 食物繊維の多い食品や発酵食品を食事に取り入れましょう
- 腸を刺激する運動(ウォーキング・水泳・ヨガなど)をしましょう
- 決まった時間にトイレに行く習慣づけや、便意をなるべく我慢しないようにしましょう
- ストレスが溜まらないよう、十分な睡眠を取るようにしましょう
薬剤治療は非刺激性下剤と刺激性下剤があり、基本的には非刺激性下剤を使用して治療を行い、改善が見られない場合には刺激性下剤を併用することが多いです。
原因によっては外科的治療が有効な場合もあります。